ここでは基本情報技術者試験のネットワーク技術のネットワーク方式や通信プロトコル、ネットワーク接続機器について説明していきます。
用語
- LAN:比較的狭い範囲内のネットワーク
- WAN:遠隔地にあるLAN同士などを接続する広域ネットワーク
- イーサネット:最も普及している有線LAN
- CSMA/CD:有線LANに採用されているアクセス制御方式、衝突を検出
- CSMA/CA:無線LANに採用されているアクセス制御方式、衝突を回避
- VPN:公衆回線などを専用線のように使える仮想的ネットワーク
- モバイル通信サービス:通信事業者の電波を使いスマホなどでインターネットに接続するサービス
- LPWA:低速だが低電力で広範囲をカバーするインターネット
- プロトコル:ネットワーク上でコンピュータ同士が通信するときに使用する手順や約束事
- OSI基本参照モデル:ネットワークアーキテクチャの標準として7階層に機能を定めたもの
- TCP/IP:TCPとIPのプロトコルを中心として構成され、基本参照モデルの各層と対応
- MACアドレス:LANカードなどのNICにあらかじめ割り振られた世界で一意の物理アドレス
- ARP:IPアドレスからMACアドレスを取得するときに使われるプロトコル
ネットワーク方式
比較的狭い範囲内で敷設したネットワークのことをLAN(Local Area Network)といい、有線LANと無線LANに大別され、以下が説明になります。また、遠隔地にあるLAN同士などを接続する広域ネットワークのことをWANといいます。
- 有線LAN:現在、最も普及している有線LANはイーサネットといい、IEEE802.3として規格化されています。イーサネットで採用されているアクセス制御方式の一つに、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)があり、伝送路上でのデータ衝突(コリジョン)を検知したらランダムな時間を待って再送する方式です。接続する端末の数が増えると衝突の頻度が上がるため、通信速度が遅くなります。
- 無線LAN:IEEE802.11として規格化されており、電波の信号が届く範囲であれば自由な位置でコンピュータを使用できるが、一方で情報漏洩や盗聴の危険性があります。無線LANで採用されているアクセス制御方式にCSMA/CAがあり、通信開始時にほかのデータを検出した場合は、その通信が終了後にランダムな時間を待ってから通信を開始する方式です。IEEE802.11に準拠した無線LAN装置間で相互接続性が保証されることを示すブランド名のことをWi-Fiといい、2台の端末間で直接通信させるモードのことをWi-Fiダイレクトといいます。また、無線のネットワークを識別する文字列のことをESSIDといいます。
VPN:多くの利用者で共有される公衆回線などを専用線のように使える仮想的ネットワークのことをVPN(Virtual Private Network)といい、インターネットを利用するインターネットVPNや通信事業者の独自の閉域網を使用するIP-VPNや広域イーサネットなどがあります。
モバイル通信サービス:通信事業者の電波を使いスマートフォンやタブレット端末などでインターネットに接続するサービスのことをモバイル通信サービスといいます。通信事業者などと契約して提供されるSIMカードを端末に挿入して通信します。最近では物理的なSIMカードの交換なしで契約情報を書き換えることができるe-SIM(Embedded SIM)というものもあります。また、スマートフォンなどの端末をアクセスポイントのように用いることで、PCなどからインターネットなどを利用するテザリング機能が使えるものもあります。近年よく耳にする格安SIMは、自前の回線網を持つ通信事業者の移動体通信網を借用して、自社ブランドで通信サービスを提供する事業者(MVNO)が提供するサービスを使われています。
キャリアアグリゲーション:複数の異なる周波数帯を束ねてより広い帯域を使うことで無線通信の高速化や安定化を図る手法のことをキャリアアグリゲーションといいます。なお、通信が急増することによってネットワークの許容量を超えて繋がりにくくなる現象のことを輻輳といいます。また、低速ですが低電力で広範囲をカバーするLPWA(Low Power Wide Area)というネットワークの整備が進められています。
通信プロトコル
ネットワークアーキテクチャの標準として、ISO(International Organization for Standardization:国際標準機構)が7階層にまとめ、機能を定めたものをOSI基本参照モデル(Open Systems Interconnection)といい、以下になります。
- 第7層:アプリケーション層:アプリケーション固有の機能を提供する
- 第6層:プレゼンテーション層:データの表現形式を統一する
- 第5層:セション層:通信の開始から終了までを提供する
- 第4層:トランスポート層:エンドシステム間(複数のネットワークにまたがるコンピュータ間)の通信の信頼性を確保する
- 第3層:エンドシステム間の通信を提供する
- 第2層:データリンク層:隣接したコンピュータ間の通信を提供する
- 第1層:物理層:ネットワーク物理的な機能を提供する
TCP/IP:ネットワーク上でコンピュータ同士が通信するときに使用する手順や約束事のことをプロトコルといいます。現在では、上記で説明したOSI基本参照モデルではなく、TCP/IPが広く使われているプロトコル体系であり、事実上の業界標準となっています。また、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)とは、TCPとIPという2つのプロトコルを中心として構成され、基本参照モデルの各層と対応しています。
また、以下ではTCP/IPの各層の主なプロトコルを説明します。
アプリケーション層
- HTTP(Hypertext Transfer Protocol):HTML文書などを送受信する
- NTP(Network Time Protocol):タイムサーバの時刻をもとに複数のコンピュータの時刻を同期させる
- SMTP(Simple Mail Transfer Protocol):メールを送信するときやメールサーバ間でメールを転送する
- POP3(Post Office Protocol Version 3):メールサーバのメールボックスからメールを受信する
トランスポート層
- TCP(Transmission Control Protocol):通信相手と通信ができたかを確認する。信頼性の高いデータ転送を提供する。
- UDP(User Datagram Protocol):信頼性は保証しないが、高速なデータ転送を提供する
インターネット層
- IP(Internet Protocol):IPアドレスを用いて、データを通信相手まで届ける
- ICMP(Internet Control Message Protocol):通信相手との通信状況をメッセージで返す。また、IPパケットが通信相手に正しく届いているかを確認するためのコマンドをpingという。
ネットワークインターフェース層
- PPP(Point-to-Point Protocol):2地点間を接続して通信する
- PPPoE(PPP over Ethernet):LAN(Ethernet)上でPPPを行い常時接続する
また、LANボードやLANカードなどのNIC(Network Interface Card)にあらかじめ割り振られた世界で一意の物理アドレスのことをMACアドレスといいます。また、IPアドレスからMACアドレスを取得するときに使われるプロトコルのことをARP(Address Resolution Protocol)といいます。逆にMACアドレスからIPアドレスを取得するのがRARP(Reverse ARP)です。
まとめ
以上がネットワーク技術のネットワーク方式と通信プロトコルについての説明でした。ネットワーク技術はひとつにまとめると長くなるため、数回に分けて説明していきます。
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