ここでは基本情報技術者試験のシステム構成とクライアントサーバシステムについて説明していきます。
用語
- ミッションクリティカル:任務や業務を行う上で必要不可欠な要素
- デュプレックスシステム:←押して図あり。現用系と待機系の2系統で構成
- ホットスタンバイ:待機系をいつでも動作できる状態で待機
- コールドスタンバイ:障害発生時に待機系を起動
- バッチ処理:テータを一定量貯めてから処理
- オンラインリアルタイム処理:データ発生と同時に処理
- デュアルシステム:←押して図あり。同じ処理を独立して行い、結果を照合する
- クラスタシステム:複数のサーバを1台のサーバのように見せる技術
- HAクラスタ:可用性を高めることを目的としたシステム構成
- 負荷分散型クラスタ:複数のサーバを並列で稼働させる
- フェールオーバ型クラスタ:現用系と予備系の2系統に分けて稼働させる
- HPCクラスタ:性能を高めることを目的としたシステム構成
- グリッドコンピューティング:多数のコンピュータを連携させ、仮想的に1台の大規模な高性能コンピュータを作る技術
- クライアントサーバシステム:クライアントとサーバで分散処理
- 3層クライアントサーバシステム:←押して図あり。プレゼンテーション層、ファンクション層、データベース層の3層構造
- シンクライアントシステム:クライアント端末に必要最低限の機能
- サーバの仮想化:1台の物理サーバが複数の仮想的なサーバを動作させる技術ホスト型、ハイパバイザ型、コンテナ型はこれを押して図ありの方が良い。
- ライブマイグレーション:物理サーバで稼働している仮想サーバを停止することなく別の物理サーバに移動させる技術
- スケールアップ:CPUやメモリなどを増強
- スケールアウト:サーバの台数を増やす
デュプレックスシステムとデュアルシステム
任務や業務をする上で必要不可欠な要素を持つシステムのことをミッションクリティカルなシステムといい、このシステムが停止した場合は社会に深刻なダメージを及ぼす可能性があります。例としては、発電所の制御システムなどが挙げられます。そのような深刻な事態を起こさないための、対策となるシステム構成についてここでは説明していきます。
・デュプレックスシステム:普段システムの処理を行っている現用系と、故障した際に代わりの処理を行う待機系の2系統のシステムで構成されており、図にしたものが下図になります。デュプレックスシステムには、待機系をいつでも動作できる状態で待機させるホットスタンバイと、障害発生時に待機系を起動させるコールドスタンバイに大まかに分けることができます。ホットスタンバイはコストはかかりますが、立ち上がりが速く、コールドスタンバイは立ち上がりに一定の時間はかかりますが、コストが安く済みます。
また、コールドスタンバイの待機系は普段、現用系とは異なる業務を行っており、その形態にはデータを一定量貯めてからまとめて処理を行うバッチ処理を行っています。反対に、データの発生と同時に処理を行う形態のことをオンラインリアルタイム処理といいます。
・デュアルシステム:同じ処理を独立して行い、結果を照合(クロスチェック)する形態で、2系統で構成されています。どちらかのシステムに障害が発生した場合は、問題のあるシステムを切り離して片方で処理を続行します。また、片方で処理を続けながら、問題のあるシステムの原因究明や復旧対応などを行うこともできます。
クラスタシステムとグリッドコンピューティング
複数のサーバを1台のサーバのように見せる技術のことをクラスタシステムといい、以下のようなシステム構成があります。
- HAクラスタ(High Availability Cluster):可用性(システムが継続して稼働できる能力)を高めることを目的としたシステム構成であり、複数のサーバを並列で稼働させることで負荷を分散させる負荷分散型クラスタと、現用系と予備系の2系統に分けて稼働させるフェールオーバ型クラスタに、大まかに分けられます。また、負荷分散型クラスタではレプリケーション(迅速な複製)で整合性をとり、フェールオーバ型クラスタでは現用系サーバと予備系サーバが1つのディスクを共有する共有ディスク方式と現用系サーバのディスクに書き込まれたデータを予備系サーバに同時にミラーリングして同期するミラーディスク方式で整合性をとっています。
- HPCクラスタ(High Performance Computing Cluster):性能を高めることを目的としたシステム構成であり、複数サーバの演算処理を連携させることで高い演算能力を得ることができます。
また、ネットワークを介して多数のコンピュータを連携させ、仮想的に1台の大規模な高性能コンピュータを作る技術のことをグリッドコンピューティングといいます。多数のコンピュータで並列処理をさせることで、スーパーコンピュータ並みのシステムを作ることができます。
クライアントサーバシステムとシンクライアントシステム
サービスを要求するクライアントと、サービスを提供するサーバで分散させる分散処理のことをクライアントサーバシステムといい、次のようなものがあります。
・3層クライアントサーバシステム:プレゼンテーション層、ファンクション層、データベース層の3層構造に分けたものになり、階層ごとに並行して開発ができ、クライアントの管理も楽にできるようになります。下図が3層構造の例になります。また、データベースに対する利用頻度の高い複数の命令をあらかじめサーバ上に用意することで、ネットワーク負荷を軽減させることをストアドプロシージャといいます。
サーバ上でアプリやデータを集中管理させることで、クライアント端末に必要最低限の機能だけをもたせるシステムのことをシンクライアントシステムといい、これによって情報漏洩やマルウェア感染を防ぐことができます。このシステムを実装する仕組みの1つにVDIというものがあります。VDIとは仮想デスクトップと訳され、クライアント側の実行・処理をサーバ上で行い、クライアント端末にはデスクトップ画面の情報だけが転送(画面転送)される仕組みです。
サーバの仮想化
1台の物理サーバが複数の仮想的なサーバを動作させる技術のことをサーバの仮想化といい、物理サーバに仮想化ソフトウェアを用いることで実現しています。サーバの仮想化の形態は以下のようなものがあります。
・ホスト型:ホストOSで仮想化ソフトウェアを動作させて、その上で複数のゲストOSを動かします。仮想化環境の構築はしやすいですが、ハイパバイザ型と比べて仮想マシンの動作が遅くなります。
・ハイパバイザ型:物理サーバでハイパバイザという仮想化ソフトウェアを動作されて、その上で複数のゲストOSを動かします。ホストOSを必要としないため、仮想マシンの速度低下を最小限に抑えることができます。
・コンテナ型:ホストOSにコンテナエンジンという管理ソフトウェアを動作させて、その上でコンテナと呼ばれる実行環境を動かします。ゲストOSを必要としないため、処理が速く高速です。
ある物理サーバで稼働している仮想サーバを、停止することなく別の物理サーバに移動させる技術のことをライブマイグレーションといいます。また、システムの処理能力を挙げる手法として、個々サーバのCPUやメモリなどを増強するスケールアップと、サーバの台数を増やすスケールアウトというものがあります。どちらもサーバの仮想化によって容易に行うことができます。
まとめ
以上がシステム構成とクライアントサーバシステムの説明でした。次回も基本情報技術者試験のシステム構成要素の続きをまとめようと思っています。
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