【FP3級】所得税の計算と税額控除

ファイナンシャルプランナー

 今回はこちらで説明した所得税の計算の手順4である所得税額の計算と税額控除の差し引きについて説明していきます。

税額の計算

 総合課税される所得から所得控除額を差し引いた金額(課税総所得金額)に超過累進税率を適用して税額を計算します。超過累進課税とは課税所得金額が多くなればなるほど高い税率が適用される課税方法であり、以下が実際に税額を計算する際に使用する速算表です。

 また、分離課税される退職所得や短期譲渡所得、長期譲渡所得、株式等に係る課税譲渡所得等についてはそれぞれ以下の税率を適用して計算します。

課税退職所得金額に対する税額:ほかの所得とは別個に上記の速算表を使って税額を計算します。

課税短期譲渡所得金額と課税長期譲渡所得金額に対する税額:土地や建物などの譲渡によって生じた譲渡所得については以下の税率を用い計算します。

  • 課税短期譲渡所得39.63%(所得税30% 復興特別所得税0.63% 住民税9%)
  • 課税長期譲渡所得20.315%(所得税15% 復興特別所得税0.315% 住民税5%)

株式等に係る課税譲渡所得等の金額に対する税額:株式等の譲渡によって生じた譲渡所得に対する税率は20.315%(所得税15% 復興特別所得税0.315% 住民税5%)

税額控除

 上で計算した所得税額から税額控除額を差し引いて申告納税額を計算します。税額控除には住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)や配当控除などがあり、以下が説明になります。

住宅借入金等特別控除:住宅ローンを利用して住宅を取得したり増改築した場合には、住宅ローンの年末残高に一定の率を掛けた金額について税額控除を受けることができる制度です。新築の一般の住宅と認定住宅等の控除率と控除期間は以下のようになっています。

 一般住宅の場合で、居住年2024年・2025年の住宅ローン年末残高限度額は、2023年までに建築確認を受けた住宅は2,000万円になります。

 住宅借入金等特別控除の適用要件としては以下のようなものがあります。

  • 適用対象者:住宅を取得した日から6か月以下に居住を開始し、適用を受ける各年の年末まで引き続き居住していること。控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること。ただし床面積40平方メートル未満の場合は1,000万円以下の者に限る。
  • 住宅:床面積が50平方メートル以上(合計所得金額が1,000万円以下の場合は40平方メートル以上)であること。
  • 借入金:返済期間が10年以上の住宅ローンであること。また、繰上げ返済によって住宅ローン返済期間が10年未満となった場合には適用を受けることができなくなる

 また、住宅ローン控除の適用を受ける場合は確定申告をする必要があります。ただし、給与所得者の場合は初年度に確定申告をすれば、2年目以降は年末調整を受けることができます(確定申告は不要)。

配当控除:配当所得について総合課税を選択した場合に、確定申告を行うことで配当控除を受けることができます。また、以下のようなものは配当控除を受けることができません。

  • 上場株式等の配当所得のうち、申告分離課税を選択したもの
  • 申告不要制度を選択したもの
  • 外国法人からの配当
  • 上場不動産投資信託(F-REIT)の分配金
  • NISA口座で受け取った配当金

 配当控除の控除額は配当所得の金額の10%ですが、課税総所得金額等が1,000万円を超えている場合はその超過部分の金額の5となります。

復興特別所得税

 東日本大震災の復興財源を確保するために設立されたのが復興特別所得税です。また、復興特別所得税=基準所得税額×2.1%で求められ、概要は以下のようになります。

  • 2013年から2037年までの各年分の所得税を納める義務のある人は復興特別所得税も納める
  • 源泉徴収の場合、合計税率(所得税×1.021)を用いて源泉所得税額と復興特別所得税額を計算

まとめ

 これで、こちらで説明した所得税の計算の手順4である所得税額の計算と税額控除の差し引きについて説明でした。

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